<踏切事故> 男性助けようとして死亡 60歳女性に称賛の声 [ニュ-ス]

 埼玉県本庄市のJR高崎線の踏切で11月24日に起きた事故で、男性(70)を助けようとしてはねられて亡くなった同市の無職、中村のり子さん(60)の「勇気ある行為」をたたえる動きが広がっている。同27日の告別式には県警本部長の感謝状が、同30日には、同市から特別功労表彰状が遺族に贈られた。中村さんの兄で、同県美里町に住む三平さん(66)は「男性を助けられなくて妹も残念だったに違いない。だが、人のためにという妹の気持ちは私たちの心の支えでもある」と話している。

 事故は11月24日午後3時35分ごろ発生。同市銀座のJR高崎線上町踏切で、男性と中村さんの2人が快速電車にはねられ死亡した。県警本庄署によると、踏切内でしゃがんでいた男性を、踏切の外から駆け寄った中村さんが抱きかかえていた時に電車にはねられた。男性は市内の病院に入院中で、落とした買い物袋やつえを拾おうとしていたとみられる。踏切の外には2人の自転車が止まっていた。

 2人は病院に搬送されたが、中村さんは救急車の中で「おじいさんは無事ですか」と男性を気遣っていたという。男性は約1時間後に、中村さんは約4時間後に死亡した。

 三平さんらによると、中村さんは4人きょうだいの末っ子。30歳前後で、仕事のため美里町から本庄市に移った。母親(92)と2人暮らしだった。16日から入院中だった母親の見舞いに連日、病院に通っており、事故に遭った日も、その帰りだった。

 三平さんは「母だけでなく近所のお年寄りの買い物を手伝ったりと優しい心を持った妹だった。おい、めいにもよく気を配っていた」と妹の人柄を振り返った。本庄市に住む姉の倉本重子さん(68)は病院に駆け付け、治療を見守った。「見て見ぬふりをする人が多いのに、なぜ踏切に……」と思ったが、医師から「妹さんは人助けで亡くなった」と聞いた。「とにかく助けたい一心だったのだろう」とハンカチで目頭を押さえ、「誰にでも優しい妹だった。よく頑張った」と話した。

 中村さんをしのび、現場を訪れる人も多い。事故から1週間がたった1日も踏切脇には約10の花束が添えられていた。



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