2000億円回収督促OL「信用を失うことは命を失うこと」と明言 [ニュ-ス]

ストレスフルな督促の仕事の裏側を綴った『督促OL 修行日記』(文藝春秋刊)が話題の“督促OL”榎本まみさん。多重債務者や支払困難な顧客への督促電話で、ストーカー疑惑をかけられたり、襲撃予告を受けたりしたこともあったという。もともと気弱でヘタレな性格でも言い負かされずに回収できる独自テクを編み出し、年間2000億円を回収できるまでになった彼女に、借金する人の傾向、知らぬ間に信用情報を悪化させる“落とし穴”などについて語ってもらった。

――仕事柄、借金している人のにおいをかぎ取ることもできるんですか?

榎本さん:先輩の話では、昔は自宅に訪問回収しに行くことがよくあって、借金している家には特徴があったみたいなんです。庭になんだかよくわからないガラクタが山になっていたり。瓶とか、缶とか、壊れたラジオとかがなぜか土に埋まっているらしいんですよ。あと、しつけが全然できていない犬が放し飼いになっていて、行くと襲ってくるみたいな(笑い)。さらに玄関を開けると、すごい数の靴がバラバラに置いてあるらしいです。

――ルーズということですか?

榎本さん:ルーズというか、物を捨てられない、踏ん切りがつかないというところでしょうか。多分、自分でもコントロールできなくなっているのだと思います。犬のしつけにしても。何に価値があるのかがわからなくなっているからだと思うんですけど、先輩はそういうところで“この人はちょっと借金を返してもらうのは難しそうだな”と判断していたみたいです。

――普段知り合った人についても判断できるんですか?

榎本さん:私の周囲でも借金している人はいるんですが、やっぱり部屋が乱雑な感じなんですよね(笑い)。部屋が散らかっていたり、時間にルーズな方とかにはちょっと気をつけたほうがいいかもしれないですね。

――著書では、救急費踏み倒しでついに救急車も来てくれなくなった男性のエピソードで、「信用を失うことは命を失うことだ」という言葉が印象的でした。

榎本さん:それは本当にあります。私たちはクレジットカードというそれこそ信用と名のつく商品を扱っているので、信用ということをすごく意識するんです。飲み会をドタキャンしたり、遅刻したり、物を返さないとか、そういうことで信用って少しずつ失われていってしまって、いざというときに自分が困ってしまう。私は、信用というのは、究極的には有事に命を助けてくれる人がいるかというところに行きつくと思っています。例えば地震が起きて、何ひとつ無くなってしまったときに自分に食べ物をくれる人がいるのかどうか、というのも信用力だと思うんです。“この人はあの時に私のことを助けてくれたから助けてあげよう”と思ってもらえるかどうかですね。

――お金よりも信用が大切だということですか?

榎本さん:信用があれば、私たちにはお金を借りないと思うんですよね。そういうお客様も最初は周りの人に借りていたかもしれないですよね。信用を失って周りの人が貸してくれなくなって、金融機関に借りるようになる。そこでも返せなくなって信用情報に傷がつくと、世の中の全てのお金を貸す機関がその人にお金を貸してくれなくなるんです。最悪の状況になる前に、信用を大事にしたほうがいいですね。

――クレジットカードを使う上で、何か注意点は?

榎本さん:今はネット決済がすごく多くて、1円とか2円といった明細が上がってくることがあるんです。ソーシャルゲームなどでアイテムを買った10円で支払いを滞らせてしまい、うっかり信用情報を悪化させてしまう人がいるんです。自分が何に使ったか把握していない方や、カードをどの口座の引き落としにしたかを忘れてしまう方は結構いらっしゃって。引っ越したり電話番号を変えたりして、私たちが督促できないよう状況になっていると、利子もかさんで最終的に信用情報機関に登録されてしまう。信用情報機関では、提携している銀行やクレジットカード会社、消費者金融などで借り入れの情報を共有していますから、一社で返済が遅れてしまうと、他の会社のカードの使用が止まってしまうことがあります。

――カードはもっと慎重に使ったほうがいい?

榎本さん:整理したほうがいいと思います。ガラクタを庭に埋めている方が借金を返せなくなっているのは、ここに通じているのかもしれませんね(笑い)。でも、督促の仕事をしていると、毎月出ていく固定費のほうが怖いなと思うんです。家賃がすごく高いところに住んでいるなど毎月の支払が大きいと、勤めている会社が突然、倒産してしまったり、リストラされたり、不可抗力なことが起きると急に行きづまってしまいます。なるべく固定費のかからない生き方を私は常に心がけています(笑い)。

【榎本まみ(督促OL・N本)】
仮名。新卒で入社した信販会社でキャッシング部門の督促部署に配属。300人のオペレーターを指示するチームに入社半年、最年少で配属され、当初の成績最下位から年間2000億円の債権を回収するまでに。心を病んで次々と辞めていく同僚を見て、ストレスフルな仕事で人生を狂わせる人をひとりでもなくしたいと一念発起。研究を重ね、気弱でヘタレな性格でも言い負かされない独自の回収メソッドを身をもって開発。現在、“督促OL”6年目。



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