韓国マスコミの東京特派員 昔は人気だったが今は違う [ニュ-ス]

緊張関係が続く日韓関係の裏側でなにが起きているのか。共同通信前ソウル特派員で「オーディション社会 韓国」(新潮新書)の著者である佐藤大介氏に「近くて知らなかった韓国」の内情について聞いた。(聞き手=ノンフィクション・ライター神田憲行)

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――イ・ミョンバク(李明博)大統領は竹島に上陸し、慰安婦問題に絡めて天皇に訪韓して謝罪を求めるなど、日本を刺激する行動を繰り返しています。来年の大統領選挙を睨んで支持率を上げるための行動だと言われています。

佐藤:確かに支持率は20%台から30%台に上がりましたが、それは一時的なもので、日本叩きをすれば支持率が上がるほど韓国国民は単純ではありません。実際、竹島上陸には多くの人が「なんで今の時期に行くのか」と呆れていましたし、外務省に当たる外交通商省の人間は同行していません。上陸した理由は支持率狙いだけでなく、慰安婦の問題もあると思います。

――慰安婦の問題が?

佐藤:従軍慰安婦の問題は、日本は解決済みという立場です。たしかに国際的にもそうです。しかし昨年8月、韓国の憲法裁判所が慰安婦の請求権を放置している状態は違憲だという判断を下し、これによって韓国政府はなんとかしなければいけない状況に置かれました。また国民的感情でも大きなしこりとなっています。李大統領は大阪生まれで実は親日家で、彼はこの問題に自分で目処を付けたかった。だから昨年の日韓首脳会議でもこの問題を野田首相に突っ込んでいます。しかし日本政府の態度は変わりません。それに対する李大統領の抗議の意味として、竹島上陸があったと思いますよ。

――しかし李大統領は天皇陛下に謝罪を要求するなど、日本国民を大きく刺激しました。

佐藤:大統領側の完全なミスです。韓国人からすれば天皇は昭和天皇のイメージのままなんです。しかし震災以降、天皇の献身的な姿勢を見て、親しみを持つ国民が少なくない。竹島問題だけだったら、「またいつものことか」と、あれほど日本人の感情に火を付けることもなかったでしょう。だから大統領もいま必死になって発言を修正しようとしていますね。一連の行動を見ていると、外交通商省と大統領周辺の仲がうまくいっていないと思いますね。

――李大統領は経済大統領として経済の立て直しを期待されて登場し、実際、サムスンなど韓国企業は好調です。なぜ支持率が低下したのでしょうか。

佐藤:国民の暮らしが良くならないからですよ。一部の大企業が儲かっているだけで物価は上がるし、競争は激化している。自分の生活実感として良くなったとは全く思えないからです。

――国民のそういう不満、ストレスが「日本叩き」に走らせている面はありませんか。

佐藤:それはどうでしょうか。韓国社会は若者が社会にものを言う雰囲気は日本よりありますよ。5年に1度の大統領選挙で自分たちのリーダーを選べるわけですから。韓国は大統領で新聞社の人事まで変わるくらい、風向きがガラッと変わるんですよ。国民生活に直結します。

――では今後韓国の大統領が変わっても、問題は続くと思いますか。

佐藤:韓国国民の99%は「独島(竹島の韓国名)は自分たちの領土」だと考えていますし、「慰安婦」問題も大きなしこりとして突き刺さっている。この二つは誰が大統領になっても日韓関係に横たわる問題として存在し続ける。しかし韓国政府は「日本バッシング(叩き)」から「日本パッシング(無視)」に軸足を変えつつあります。貿易の最大の相手国は中国です。外交通商省の東北アジア局のトップはこれまでずっと日本畑の人だったのですが、今度初めて、中国畑の人になりました。東北アジア課の1課はかろうじてまだ日本担当なんですが、中国担当が2課と3課に増えました。マスコミにしてもかつては東京特派員は人気だったのが、今はそうではありません。ジワジワと中国の影響力が増してきて、日本の影響力は低下してきているのが実態だと思います。






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